文字・活字文化の日の由来
文字・活字文化の日は、2005 年に施行された「文字・活字文化振興法」によって定められた記念日です。多くの記念日が企業や団体の制定によるものであるのに対し、この日は法律に日付が明記されている、いわば「国のお墨付き」の記念日という点が特徴です。
日付が 10月27日なのは、この日が読書週間の初日にあたるためです。読書週間は終戦まもない 1947 年に「読書の力によって平和な文化国家をつくろう」という趣旨で始まった取り組みで、現在は 10月27日から 11月9日までの 2 週間、全国の書店や図書館でさまざまな読書推進の催しが行われています。その幕開けの日を、文字・活字文化を考える象徴の日としたわけです。
「活字離れ」への危機感から生まれた法律
文字・活字文化振興法が作られた背景には、2000 年代に入って盛んに言われるようになった「活字離れ」への危機感があります。テレビやインターネットの普及で本や新聞を読む時間が減り、読解力や言葉の力の低下が心配される──そうした議論を受けて、この法律は、読書や出版などの文字・活字文化が「人類が生み出した文化のうちで最も基本的なもの」のひとつであるという認識に立ち、国や自治体に振興の責任があることを定めました。
具体的には、図書館の充実、学校での言語力の育成、出版活動への支援などが振興策の柱とされています。地域の図書館が使いやすくなったり、学校で朝の読書の時間が設けられたりといった身近な取り組みの背景には、こうした法律の後押しもあるのです。
スマホ時代にこそ「長い文章」を読む日
皮肉なことに、現代人が一日に読む文字の量そのものは、スマートフォンの普及でむしろ増えているといわれます。ただしその多くは、SNS の短い投稿やニュースの見出しなど、断片的な文字です。一冊の本をじっくり読み通すような「長い文章と向き合う時間」は、意識しないと持ちにくくなりました。
文字・活字文化の日は、そんな読み方の偏りをリセットするのにちょうどよい節目です。読書週間の初日でもあるこの日、書店や図書館ではフェアや企画展が始まり、新しい本と出会いやすいタイミングでもあります。通勤時間の 15 分だけスマホを閉じて文庫本を開く、寝る前に子どもへ絵本を 1 冊読む──それだけでも、この記念日の趣旨には十分かなっています。秋の夜長の入り口に、活字とゆっくり付き合う習慣を始めてみてください。