クリスマス・イブの由来

クリスマス・イブは、クリスマスの前夜にあたる 12月24日の呼び名です。「イブ(eve)」は夜を意味する古い英語「even(イーブン)」に由来する言葉で、本来は「クリスマスの晩」を指します。つまりイブは単なる「前日」ではなく、24日の夜そのものを表す言葉なのです。

なぜ前夜から祝いが始まるのかは、教会の暦の数え方に理由があります。キリスト教の伝統的な暦では、一日は真夜中の 0 時ではなく日没から始まるとされてきました。この数え方では、12月24日の日没後はすでに「クリスマスの日」に入っています。教会で 24日の夜にイブ礼拝やミサが行われるのはこのためで、クリスマスの祝いは本来、24日の夜から 25日にかけてひと続きのものなのです。

日本で「一年で最も華やかな夜」になるまで

日本のクリスマス・イブは、宗教行事という枠を越えて、年末の一大イベントとして定着しています。明治から昭和にかけて、ケーキの販売や商店街の装飾などを通じてクリスマスの習慣が少しずつ広まり、戦後には家庭でケーキを囲む光景が一般的になりました。

イブが特別な輝きを持つようになったのは 1980 年代以降といわれます。クリスマスソングの大ヒットやドラマの影響で「イブは恋人と過ごす夜」というイメージが広まり、イルミネーションやディナーの予約が集中する、一年で最もロマンチックな夜として演出されるようになりました。25日当日よりも 24日の夜のほうが盛り上がるのは日本のクリスマスの特徴ともいわれますが、「祝いは前夜から始まる」という本来のあり方に、期せずして沿っているともいえます。

誰と過ごしても「いい夜」にできる日

現代のイブの過ごし方は、ずいぶん多様になりました。恋人とのディナーだけでなく、家族でケーキとチキンを囲む夜、友人同士のパーティー、ひとりで好きな映画とごちそうを楽しむ「ソロクリスマス」も、すっかり市民権を得ています。

共通しているのは、「今夜は少し特別」という気分を、それぞれのやり方で味わっていることです。豪華でなくても構いません。部屋の明かりを少し落としてキャンドルをともす、いつもよりいいケーキを買って帰る、離れて暮らす家族に電話を一本かける。日没とともに始まる聖なる夜の入り口で、大切な誰か──自分自身も含めて──をあたためる時間を持てたなら、それが何よりのイブの過ごし方です。